57台のタクシー車両にキャッシュレス決済端末を一斉導入。決済の利便性を大きく底上げ

北陸さくら交通

会社のほぼ全車両にあたる計57台のタクシーに、キャッシュレス決済端末(スマート決済端末/モバイル決済端末)を一斉導入したのが、金沢を拠点とする北陸さくら交通です。

高齢のドライバーが多いタクシー業界にあって、新端末への切り替えは会社にとって大変な苦労が……と思いきや、意外にも使い方の講習会などはせず、いたってスムーズに切り替えられたといいます。

なぜ、それが可能だったのでしょう。同社の森川淳一代表取締役社長と、ドライバーの安岡さん、事務担当の鈴木さんに話を聞きました。

北陸さくら交通について

金沢市と野々市市に営業所を置くタクシー会社。「安心・安全・親切・丁寧」をモットーに、地元に根付いた営業を展開。営業用車両は、全63台を保有。タクシーを呼んだ分の料金がかからない「お迎え無料」サービスも好評を得ている。ジャンボタクシーによる観光貸し切りや、運転代行などのサービスも行う。

決済の種類が少なく、“機会損失”が起こっていた

北陸さくら交通では、以前はどのような決済方法を採られていましたか?

森川さん:もともとは、現金とクレジットカード、そしてPayPayでの支払いのみに対応していました。クレジットカードは専用端末を使っての決済で、PayPayはボードに記載されたバーコードをお客さまがスマートフォンで読み込むスタイルの決済でした。

何か課題は感じていましたか?

森川さん:使用していたクレジットカード端末の通信状態が、突然悪くなることがありました。

安岡さん:高架下や駅前などで決済を行おうとすると、通信がうまく行えないことがたまにあったんです。そうなった場合、端末をリセットしたり、車の位置を動かしてみたりすることになります。急いでいるお客さまもいらっしゃる中で、この対応はこちらも気が気ではありませんでした。結局いろいろ試すも通信が復活せず、現金で支払っていただくこともありました。

sakura-kotu_03北陸さくら交通株式会社 ドライバー 安岡さま

森川さん:観光客がたくさん訪れる土地での営業にもかかわらず、対応するキャッシュレス決済の種類が限られている点も課題でした。北陸界隈では、まだ現金払いが主流ではありますが、今後キャッシュレス決済を利用する方は確実に増えていくと思うので、その部分に不安を感じていましたね。

安岡さん:とくに関東圏や関西圏から来るお客さまは、タクシーでキャッシュレス決済を希望されるケースが多いです。クレジットカードかPayPay以外の決済方法を希望された場合、対応できないためにお断りしていました。

鈴木さん:迎車や貸し切りのサービスを利用するにあたり、「●●で支払えますか?」と会社に直接問い合わせられるお客さまもいらっしゃいます。対応していないことを伝えると、「それならけっこうです」とお断りされるケースもありました。

不安を訴えていた年配ドライバーも速やかに移行

そこから新たにキャッシュレス決済端末を導入するにあたり、どのような条件を設けましたか?

森川さん:重視したのは、端末の見やすさと、操作のわかりやすさです。

「見やすさ」と「わかりやすさ」を重視したのは、なぜでしょう?

森川さん:年配のドライバーも多いので、字が細かいと見えづらいですし、使い方が難しかったら、端末を導入したところで使ってもらえないからです。

そうした観点から採用を決めたのが、キャッシュレス決済端末「PayCAS Mobile」でした。文字が大きくて見やすいですし、担当の方からご説明を受ける中で使いやすさが伝わってきました。それと、ソフトバンクグループであることの信頼性もありました。

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他社の端末も検討されましたか?

森川さん:はい、3~4社の端末を比較検討しました。

その結果、ほぼ全車両にあたる57台へのPayCAS Mobileの導入を決められました。それだけ多くの車両に一括導入することになった理由を教えてください。

鈴木さん:当初は、その時々で出勤する車両だけに端末を載せ、出勤を終えた際に端末を取り外し、営業所で保管する形を考えました。ただ、それだと端末の管理がなかなか難しく、また端末を日々持ち運ぶ中で、破損の恐れもあると感じました。それなら、すべての車両に載せてしまおうとなったんです。

実際に導入してみて、いかがでしたか?

森川さん:最初、新しい端末を導入すると伝えたところ、年配のドライバーたちがかなり不安がりました。そこを「ちょっと使えばすぐ便利になるから、信じてやってみて」とお伝えして使ってもらった結果、今ではみなさん文句一つ言わずに使ってくれています。

端末の使い方に関して、勉強会などは行いましたか?

鈴木さん:以前の端末を導入する際には、やはりドライバーたちが不安がったこともあり、講習会を開きました。対して今回は、より直感的に使える端末だったこともあって、そうした講習会は開かず、社長や私たち事務員からの口頭でのかんたんなレクチャーで使い方を伝えました。

sakura-kotu_04北陸さくら交通株式会社 事務担当 鈴木さま

使い方に関しては、PayCAS Mobileのサイトにある1分半ほどの説明動画がわかりやすく、とても役に立ちました。まずは私たち事務員が、これを観て使い方をサクッとつかみました。さらにドライバーにも観てもらえるように、一週間ほど営業所のテレビで動画を流し続けました。

*PayCAS Mobileの使い方動画マニュアルはこちら

安岡さん:実際に乗車で使ってみて、正直、ものすごく使いやすいなと感じています。以前の端末は、いわゆる物理的なボタンだったので、少し押しづらい時もありました。対して今の端末はスマートフォンと同じタッチパネル式で、ボタンを押すとピッといったアンサーバックもあるので、より正確かつ快適に操作できます。画面が大きくて明るいところも使いやすいです。

「便利になった」という口コミが日々増えている

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安岡さん:また、決済に要する時間も短くなりました。以前の端末は、ポインターがくるくる回る“待ち”の状態になることがありましたが、新端末ではそれがなく、画面がサクサク進んでいきます。決済後、端末からレシートが直接印字されるのですが、そのスピードも速いです。

森川さん:あとは、端末のデザインがシンプルですっきりしているところも、かっこよくていいなと感じています。

対応可能な決済方法が大幅に増えた点に関しては、いかがですか?

安岡さん:今ではほぼすべてのクレジットカード、交通系電子マネー、QR決済に対応しています。やっぱりお客さまに「●●で」と決済方法を指定された時に、「対応していないんです……」とお断りしなくてよくなったのは、ありがたいですね。変に気を使わなくてよくなったので。それと、すべてのキャッシュレス決済を一台の端末で行えることも、便利だなと実感しています。

端末の通信状況に関しては、いかがですか?

安岡さん:以前のような不具合は、起こらなくなりましたね。

森川さん:それと新端末を導入したことをとくに宣伝はしていないのですが、口コミサイトで「北陸さくら交通で電子マネーが使えるようになった」「便利になった」といったレビューが日に日に増えていて、お客さまに喜んでいただいていることを感じています。実際に、キャッシュレス決済の利用頻度も増えていますね。

一時はコロナ禍で客足がかなり落ち込みましたが、ここ最近は以前の水準にほぼ戻っています。今後、インバウンド客をはじめ観光利用のお客さまがさらに増えることが見込まれ、PayCAS Mobileの導入でそこに対する備えもできました。

最後に、この先の目標や展望を教えてください。

森川さん:タクシー業界では、全国的な運賃の改定が少し前にあって、今後は“乗り控え”が起こる可能性もあります。だからこそ、こうしてお客さまの利便性を高めることは、より重要になります。今後も「心地よいタクシー」を目指して、やれることはしっかりやっていきたいですね。

sakura-kotu_06北陸さくら交通株式会社 代表取締役社長 森川淳一さま
(2023年7月14日)